ラムネのお話
ラムネびんには、初めはビー玉がなかった。
現在ラムネとは、ビー玉で栓をした炭酸飲料のことをいいます。
でもラムネが生まれた初めには(注1)コルクで栓がされていました。
注1) ラムネの由来とされるレモネード(レモン風味のソーダ水)はイギリスで生まれました。
ビー玉入りの現在の様なラムネびんは何時どこで作られたのか。
1872年イギリスでハイラム・コッド氏(Hiram Codd コルク会社のセールスマンだった)が炭酸飲料を密封する画期的な方法の容器として発明しました。
ラムネの栓の仕方(サイダーとの違い)
ラムネは、ビー玉で内側から栓をしています。
サイダーは、王冠で外側から栓をしています。
これは充填の仕方に違いがあります。
これを説明するのはちょっと難しいのですが・・・
ラムネの場合
先ずシロップ(注2)をビンに注入します。 その後ビンの中の空気が外に出る逃げ道をつけた状態で炭酸水を一気に吹き込みます。 そして中の空気が抜け、炭酸水がビンに一杯になった瞬間にビンを逆さに返します。 するとビー玉がビン口に落ちて中のガスの圧力(注3)で、ビー玉が口ゴムのところに押し付けられて栓が出来るのです。
ラムネビンの中央部にくびれが有り、ビー玉がビンの底まで落ちない様になっているのは、ビンを逆さまにしたときに、出来るだけ 早くビー玉をビン口まで落として、その間にガスが逃げるのを防ぐ為です。
注2) ラムネの味を作る甘味、酸味、香りなどを混合したもの
注3) 炭酸水は圧力がかかっており、一気にびんに吹き込むことにより内部の圧力は強くなっている
サイダーの場合
先ず、ビン容器に炭酸ガスを吹き込みます。 その後に炭酸水(注4)を圧力のかかった容器に注ぎます。すると炭酸水は気圧差のない状態で注入されることとなり一気に流れ込まないでゆっくりと充填されます。
それから王冠で栓をします。
注4) サイダーの場合炭酸水とシロップを先に混ぜてある。
尚ラムネとサイダーはその語源の由来はレモネードとシードル(リンゴ酒)です。 それぞれ異なりますが、現在では味の違いによる区別はありません。
明治37年に王冠を使ったサイダーの発売以後、玉入りびんのものをラムネ王冠栓のものをサイダーと区別するようになりました。
ラムネの盛衰
幕末の頃に長崎、横浜に持ち込まれ、その後、日本でも製造される様になりました。 初めはコルク栓のもので、玉入りラムネは明治20年頃より輸入びんを使用し製造されました。 その後、国内でも玉入りびんが製造出来るようになり全国に広まりました。弊社が製造を始めたのもこの頃です。
その後、ラムネは庶民の飲み物としてお祭りや映画館、銭湯、観光地、イベント等で親しまれますが、外来の新しい飲み物(コーラ等)に押されてしだいに衰退してゆきました。
昭和40年代に入り、都会ではほとんど見られなくなったラムネがレトロブームに乗り、東京銀座の歩行者天国での爆発的な人気をきっかけに、復活をすることとなりました。 一時は製造されなくなっていたラムネビンも再び生産される様になり、全国で大人たちには懐かしい飲み物として、子供たちには新しい飲み物として人気を得ました。
しかしその後、缶飲料の自動販売機での販売や、スーパーの出現などにより、ラムネを売っていた小売商店が減少してゆき、回収ビンの売場が減っていきました。
昭和57年に、ワンウェイのペットボトルの容器が開発され、さらにワンウェイガラスビンも作られ、新しい流通に乗り、スーパー等での販売が可能になり、再び脚光を浴びることとなりました。
しかし現在では飲み物の多様化が急激に進みラムネは再び衰退の道をたどっています。
ラムネの未来
ラムネは現在他の飲料に比べ容器代が高く生産性も悪い商品です。 合理性と効率を追求する世の中では、今後ラムネが生き残るのは厳しい面があります。 しかし、イギリスで生まれヨーロッパを中心に世界中に広まったラムネが、その後生まれたより合理的な王冠の飲料に駆逐された中で日本で大きく育ち長く生きつづけている 理由を考えると、ラムネには日本人の心を潤す何かがあり、今見直されつつあるスローフードのひとつ、スロードリンクとして必ず生き残ると期待しています。